「True Colors」感想
予想を大きく裏切った作品だった。悪い意味で。
前作の「スカイコード」があまりにも素晴らしかったから今作に対する期待が最初から大きすぎたせいかもしれない。
はっきり言ってダメな作品だった。
「青春」をテーマにしていて、4 人で映画を撮るシーンなどを通して「青春」の空気を出そうと頑張っていることは伝わってくるけど、自分の場合はそんな空気をあまり感じ取れなかった。これは多分尺が短すぎるせいと声優の演技のせいだと思う。「青春」を描くシーンが一つ一つ短くて読者の心の中で発酵出来ず、その上水萌と凪の声優の演技が下手でそういうシーンに本来のある「爽やかさ」が作り出せなかった。そして「青春」のもう一つの顔、キャラクター達それぞれの葛藤を描こうとしていることも伝わってくるけど、描写の深さも尺も足りなかったせいで読んでいて心が動かない。もっと深くキャラの掘り下げて何か読者の心を動かせるエピソードを用意するべきだと思う。
唯一良かったと思えるのは虎芽スイさんの葛藤に関する物語だった。用意されたエピソードは心に触れて昏くドロッとした悦楽が感じ取れる、前作の「スカイコード」と似たような体験をできる。
全体の悪い点はもう一つ、メインストーリーとあまり関係のない日常生活のエピソードが作ったノイズがひどい、特に鹿間での田舎日常生活は読んでいて眠くなる。単純に尺を伸ばすのが目的も別にいいんだけど、もうちょっと他の面白いエピソードを書いてもいいんじゃないか……?
水萌ルートはそこそこ良かった。この「そこそこ」とはほたるルートと比べて少しマシという意味で、横向きに比べるとダメであることは変わらない。
水萌のテーマは「音楽に対する葛藤」だと思うけど、これも描写のせいであまり感じ取れなくて心が動かない。
一番酷かったのは水萌ルートのエンディングで、こんな終わり方あるのってクリアした時思わず叫びたくなった。これ全然 the end じゃなくて to be continued でしょ、前作同じサブヒロインであるシンジュだってちゃんとしたエンディングがあったのに……
ほたるの葛藤はたぶん震災の時みんなを救えなかっただと思うけど、他のキャラに比べてほたるが戸惑うシーンが全くなかった。そのせいでほたるというキャラの個性は薄まれてただの明るい女の子になってしまって「なんでこんなキャラがヒロインなんだ……?」という疑問が何回も湧いてきた。まあ前作の天使ルートもダメだったから MELLOW の作品のセンターヒロインルートはダメってのは自分の中で固まっていた。
薔薇に関して特に思うことはないので以下略。
ちなみにエロシーンもスカイコードに比べてエロみが足りなくて全然抜けなかった。
唯一素晴らしいと思えるのは音楽だった。フルプラの作品でもなかなか見かけない 4 曲のボーカル曲が入っていてしかもどの曲も悪くない。特に「Puddle Blue」は本当に駅前の路上ライブで歌ってそうな曲に仕上げられていて好きだった。流石社長が音楽担当のブランド。
今作をプレイして思ったことは、やはり MELLOW の作品は人を選ぶんだなーと。MELLOW の作品をプレイすることはガチャを回すと似ていて「刺さる人には刺さる」、今作は自分に刺さらなかったということだけだった。
垂花さんが書いた昏くて淀んでいて、でも少し澄んだ雰囲気をした作品の方が自分は好きなので、今作全体の雰囲気が明るすぎたのが原因かもしれない。
