「Stellar Code」感想

素晴らしいの一言しかなかった。

去年までなら同人ゲームはまだしも、声なしのゲームはほとんど触らない主義だったから何故この作品に興味が沸いたのか自分でも分からないが、この作品に出会えて良かったとクリア後はそう思っている。そういえば最近主にプレイしているゲームはほとんど同人になっていたなあ……商業ゲームも頑張って欲しいところだ。

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開始直後すぐに妹との面白いやり取りに引き込まれて夢中になれる。
序盤はシグナルとシステムの専門用語が多く出て来て大学の授業を想起させる内容だったし、その後も通信領域と CS 領域の色んなプロトコルとスタンダードが出て来て、どれもちゃんと合理的に書かれていてライターさんはちゃんと考察していたことをじわじわと感じさせる内容だった。
ただ自分の場合はその業界の中で生きているから理解も何もすでに身に馴染んでいた論理だから障害なく読んできたけど、非理系の方にとってはどう感じるのかは分からない。
それから地球外知的生命体が判明されるまでのシーンが本作における一つ目のクライマックスだと思う。「まさか」と思いながらも「いやでもそう解釈すると確かに…」と考えてしまう矛盾する衝撃が脳を襲う快感を体験できる。
逃亡中のシーンは本作における一番エンタメ性が高い段階であり、ミステリー作品の中でごく普遍的に出てくる逃亡だった。それでも十分面白くて、主人公たちが上手く逃れるかどうかを息を吞みながら見守っていた。ちなみにここで怒涛の視点の切り替えのおかげで主人公たち以外のキャラに対しての理解度が高められた。
そして終盤は本作のクライマックス。正直岩崎か主人公の母が「預言者」と予想していたが、まさか教授が出たと思わなくて、でもふと思い返すと確かにデルタシックスのファイルの中にそれを示唆するヒントがあって、当てられなくて悔しかった。それから人類と地球外知的生命体との接触の善悪について議論をしていたが、正直その段階で教授の言い分は最も正しいだと思っていた。しかしその後地球に警告するために 5000 光年を越えてやってきたのが判明されて流石にそれで何も言わずに消滅させるには筋が通らないと思って立場を反転した。

本作の集大成はこの終盤の流れの中にあるーーブラックホールの消滅は特定波長の重力波による上位存在の捕食という突飛だが合理的な発想。
「まさかそんな」と思いながらも反論できない、本当にそうかもしれないと考えてしまう自分がいた。その衝撃が地球外知的生命体が判明される時よりも強烈的で、たまらなかった。

綿密な理論で作り上げられたこの作品だったが、それでもいくつかの説明が付かない点がある。
一つ目は何故地球外生命体が地球人が人為的に作られたプロトコル (GPS、TCP) とスタンダード (FITS) が分かるのか。地球上に飛び混じる全ての電磁波を解析できるからそこから分析して理解したというなら辛うじて可能だとして、それなら何故地球上の文字が分からない?エンコードされたテキストも電磁波に乗って飛んでるからプロトコルとスタンダードを解析できるほどの力を持ってるならそれも理解できたはず。
二つ目は人類 517 を助けるために果たして地球外生命体は量子消滅を発生させるのか。特定波長の重力波を発するのは彼らにとって禁忌なはず、人類の個を助けるために全を危険に晒す行動は「個は全、全は個」の彼らから見ると非合理的な判断のはず。
しかしこれらの欠点も本作の優秀さに覆われて実際ほとんど気にならないものになっていた。

まとめると、論理的、無駄がない、テンポがいい、ちゃんとした伏線張りと回収、これらは「Stellar Code」の特徴だと思っている。特に論理に準ずる構成は本当にそうかもしれないみたいな妄想を読者にもたらして SF 特有の魅力を完璧に表現されていた。専門用語が多い割にテキストはすごく読みやすくてサラサラと進行できると、色々と「Steins;Gate」を想起させる類似性があるものの、内容的にはまったく重なってなく素晴らしい作品に仕上げられていた。ちなみにブラックホールに関しての仮説が出てきた時点でホワイトホールやアンチバースの仮説も出てくるんじゃないかと期待していたがそんなことはなかった。

余談だが JIS 配列のキーボードはマジでクソ。デルタフォーが苛立つの本当に分かるわ。

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