「創作彼女の恋愛公式」感想

転職活動の忙しい時期が過ぎて、やっと落ち着いてからプレイした復帰の一作。

元々プレイする予定はなかったんだが、発売後の評判がそこそこ悪くないので試しにやってみたらそのままハマってしまった。

ちょうど本作をプレイし始める数日前、「Just Because!」というアニメを観終わったから毎日胃薬が欲しい状態だった。本作の第一章はまさにその最高なタイミングで火に油を注いでくれた、もう感傷のドン底に浸っていたような気分でいて、進めば進むほど本作のキャラクター達はみんな記号的な二次元キャラではなくちゃんと人間臭さがある人物だと気づいて、本当になんてタイミングだ……とか思っていた。特に桐葉と結菜はもっとも典型的で、なのでこのゲームで一番好きなキャラ達は結菜と桐葉です。

共通√計8章は本作で一番好きなパートです。主人公たちは夢と現実、恋、才能、劣等感などの感情に翻弄されながら前に進んでいく、まさに等身大且つ人間臭い青春物語、読んでいると淡い苦みを噛みしめているような気持ちになる、その反面一部の個人√はいまいち。自分の経験なんですが、何故かこの手のゲームはみんな共通√が最高個人√が普通のテンプレになってる気がする、本当何故なんだろう……

本作一番の特徴と言えばそれは登場人物の言葉以外の表情や描写からその人物の本当の気持ちを読み取る必要の場合が多いだと思う。言葉にしなかった本当の気持ちを様々な演出からヒントをもらって解読するのが楽しいし、より一層人物の個性が分かるようになる。


桐葉√

桐葉は一番人間性が複雑なキャラ。 クールでありたいのに、自分の気持ちが常に自分の公式と裏腹で矛盾だらけ。そこが彼女のかわいいところでもあるんだが。

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逢桜との関係性について、桐葉と逢桜は恋敵なのに逢桜とお互い尊重し大切友人だと思っている。お互い性格の相性は最悪とも言えるし、寿季のこともあるから、最初こそ水と油だが、一緒の時間が増えるにつれて親友になった。これは女の友情ってやつかな?わかんないや。

でも、いくら桐葉は強気で自分の目標にまっすぐでいても、友人には誠実であり続けている。現に彼女は寿季が逢桜が好きで逢桜も寿季が好きということに気づいてるから二人を応援してるし、逢桜が行った後も自分の気持ちを抑えて寿季に逢桜を追えっていつも言ってる。桐葉は寿季と逢桜が不器用って言ってるが実際彼女自身もかなり不器用であるし、今作一番のお人よしでもある。

桐葉は自分の実家を「毒」だと言った。その気持ちはとっても分かる。ちょうどプレイしてる時期自分も転職先について悩んでいた、安定で変わらない道を選ぶか、未知の冒険の道を選ぶか、自分の心の中でずっと戦っていた。

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個人ルート、逢桜を見送った後、寿季が桐葉に電話する時、

「でも、あいつはそれ以上は求めなかった」

「だから俺は一人のクリエイターとして、逢桜を見送ったんだ」

「そして逢桜も、それを望んでいたから」

「本当に真っ直ぐというか、頑固というか、面倒な生き物ね……クリエイターって」

桐葉は自己が強いからもし彼女がこんな状況に出くわしたら真っ先に自分の求めるものを勝ち取ってくるんだろう、だから彼女にとって寿季と逢桜のような根っからのクリエイター性質はめんどくさくて、そして眩しくにも見える、それは彼女自身にないものだから。


声優になりたい夢について、桐葉は本気だから

「夢のために何もかも捨て去る覚悟はある」

「そうでなければ、私は私でいられなくなってしまうから」

自分とエンラブのヒロインと重なってる。家庭の事情もあるけど何より桐葉はプライドが高い人だから夢を叶うために全てを捨てれる強い意思を持ってる。でもそんな信念が寿季に恋をしたせいで歪が生じ始めた、信念と恋の狭間で足踏みして、彼女の最初の答えは

「私の幸せは、夢が叶うことなのだから」

まるで自分に言い聞かせように、自分自身を納得させるように桐葉は言った。だが最後の防御線も逢桜の一言に全部瓦解されてしまう。

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クリティカルヒット。この魔法の一言で桐葉は自分の気持ちを気づいてしまう。

それと同じ時、寿季も桐葉に自分の気持ちを伝えるかについて悩んでいる、もし伝えたら桐葉の夢を壊してしまうかもしれない。最終的に花咲さんのアドバイスのおかげで桐葉に自分の気持ちを伝えると決めたが、この決断は逢桜の時と矛盾しているような自分は感じられる。逢桜にクリエイターとして居続けてほしいのに、桐葉の場合はなりふり構わず桐葉の声優としての夢を壊そうとしても好きでいたい。この矛盾の理由について自分はこう考えている。逢桜の時はもう電車に乗ってて間に合わない、桐葉の時はまだ間に合える。そういう少しの状況の違いが異なる結末を導いてた。或いは逢桜の離別を経験したから「逢桜の時のように後悔したくないから」今度は自分自身に正直になりたいと思ったからかもしれない。


雨の中のクライマックスシーンを経って二人はめでたく付き合ってその後ひたすらエッチシーンが流れて電車の中で盗撮されてスキャンダルになる。桐葉が恋愛事情を公表すると決めた時その時点で何故わざわざ公表する必要があると理解できなかった、桐葉らしくないと思った。その後公開生放送で桐葉が言った言葉

「私はまだ学生で、青春を満喫する年齢で、恋に恋する時期だというのに……どうして隠さなければいけないのだろう」

はとっても刺された。芸能人である前に桐葉は普通の女の子でもある。でも世間では押しが恋するのが許さない風潮が主流だから芸能人特に声優の恋愛事情は明確なボーダーがないし暗黙なルールが多い。作品中も理由を書いてた。

「とはいっても、今の時代の声優ってキャラクターと同一視されることが多いからさ」

「だから演じたキャラクターには設定上彼氏がいなくても、声優に彼氏がいるとキャラクターにも彼氏がいるように思えてしまう」

「そうなると、作品が汚された気にもなるんじゃないか」

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自分も他人事じゃないからその気持ちがとっても分かる、いやわかりみが深すぎてそれ自分じゃね?かと思った、オタクってめんどくせぇなぁ……まあ今は胸を張って卒業したんですと言えるがもし二年前のあの出来事がなかったら今も自分は幻想の中に生きているかもしれない。今の時代の声優は世間に要求されるスキルもどんどん増えているし、もはや声優という名のオールラウンダーになってる。これは時代のせいかな?アイドル文化のせいかな?多分どっちもあるんだろう、ただ経験者の目線から言うことは一つだけ:キャラと声優を重ね合わせるのをマジでやめれ、役者のためにもオーディエンスのためにもあるから。


公表した後、桐葉から説明を聞かされた。

「単にこいうことをしてみたかったのよ」

「今までは二人きりで食事なんてしていたら噂になるのは間違いないでしょう」

「だから、こうして恋人と一緒に昼食を楽しむ……そんな当たり前のことを私はやってみたかったのよ」

これを聞いて、あの夢が一番大事だった桐葉は何故恋愛事情を公表することに決断したのか、ここで少しは理解できたような気がする。


寿季が刺されて、桐葉が失声症になってしまった時花咲さんが言った言葉

「ここ数日間のファンからのバッジングによるストレス、鏡くんが刺されたというショックが重なった結果だって」

に少し刺された。声優さん達は夢を見せてもらってるのに、どうしてこんな理不尽なことをされなくちゃいけないんだ。その後

「彼女の心は挫けてない。その瞳には、まだ炎が宿っていたから。」

この地文を読んだ時実は嫌な予感がしたんだが、結局何もなくて良かった……もしそれ以上に何か酷いことがあったらもうこのゲームは鬱ゲーでしょマジで……

失声症に罹った事実を証拠として、桐葉の中の優先順位は変わったことが明白であった。桐葉は恋をしたことによって夢を何もかも優先から恋人が第一に変わった。恋は人を変えるのはよく聞くこと、この事実から桐葉がもっと愛しく感じられる自分がいった。


失声症を治すために、寿季は桐葉を実家まで連れて行った。

「ここは逃げる場所ではなく、戻ってこれる場所であって欲しい」

と桐葉は言った。色々試した結果、寿季のシナリオを読んで声が戻れたという展開は少し強引だと思う。シナリオに桐葉への愛情が含まれてるならともかく(エレナの恋文のようなシナリオ)、ただシナリオが素晴らしいから演じたい気持ちになったから声が戻ったのはしっくりこないな……


桐葉√はここで終わりだが、この√、もとい全ての√では大人組4人それぞれの葛藤も書かれている。桐葉√の場合は花咲さん。

姫子は花咲さんが声優への未練が簡単に割り切れないと信じて、彼女を復帰させるチャンスを伺ってた。ちょうど寿季が桐葉の声を取り戻す際に、

「ストレスとショックを乗り越えられるほどの、役者として演じてみたいと思えるほどのシナリオを提示しないと」

という無心のヒントを得て、計画を実行した。

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でも花咲さんは断った。未練がないではなく、どこまでも正直に役者のプライドを選んだ。多分花咲さんの中にはもう割り切ってるだと思う。それはマネージャーとして桐葉の努力を見守り続けてきた日々の中で感じて、自分と問答を繰り返して得た答え:自分の夢は終わったから、今度は人の夢を叶う番になりたい。

エレナ√

年上!お姉さん!巨乳!

……とは言え、あんまり刺されなかった、何故なんだろ、もしかして俺実は自分の性癖を正しく理解してないのか……?

先ずは共通ルートから。


共通ルートの第二部分、寿季がエレナ先輩とあやふやな関係を続けて、やっと決意をしてそんな関係性をはっきりしたい時、エレナは逃げ出した。それは最初から答えを知っているから、実らない恋を胸の中に閉じ込めようとして、もし言葉にしたら寿季との関係性が変わってしまうかもしれないと怖いから。その気持ちと行動はかつての自分と全く同じだった、でも逃げたらあとで必ず後悔する、

「かつて自分は想いを伝わずに逃げました。あの時のことは今でも後悔してます」

「わたしの後悔を先輩で晴らして欲しいですから」

と逢桜に背中を押されてエレナは正面から受け止める勇気を貰った。


そして答えをわかっていながら告白して、玉砕した。先輩の強い意思に脱帽したい。


個人ルートに入り印象的な面白いネタは、

「エッチシーンの音声って基本的にテンションが一定だから、ずっと聞いていると眠くなってしまうのよ」

です。まあわからなくもないがなにこの上級者スキルって思った…


エレナ√では桐葉の葛藤シーンがちょくちょく挟んでいる。それが終わるたびにゲームをポーズして気分転換をしないと心が落ち着かないしシナリオを読み進めない。結構胃薬を呼ぶものだなこのゲームも。


エレナのエッチシーンに関しては… 一つだけ言わせてほしい。年上+巨乳なのに、フェラシーンがめっちゃ多いのに、声優さんの演技のせいで全然抜けないんだけど…まあ新人だから大目に見てやれるがマジでもったいないよな…フェラシーン以外はちゃんと抜けた、はい。

寿季がエレナ先輩との差を実感して自分を追い込むようになってそれがダメだと感じて結菜との相談するところ確信したのは、この作品に結菜が一番好きかもしれない、それは演技だけではなく、人間性も含まれている。


同じ姫子先生に相談して姫子からアドバイス貰った時、

「先生の気持ちはありがたいです」

「でも、俺は先生が望むようなクリエイターにはなれないと思います」

「創作はもちろん大切です。でも、俺には同じぐらい大切なものがありますから」

ここから見えるのは、寿季がいくつかの葛藤をすり通して、この√では寿季はクリエイターであることをある程度諦めて、普通でいようと決めただと思う。

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最後の寿季とエレナのシナリオどっちのほうが人気あるの投票結果発表は結果を見せなかったのは結果がもうどうでもいいからなんじゃないかなと、 そう考えたんだがエンディングの後この考えが瞬時に告知された(おい


最後に補足するものとして、逢桜√でエレナ先輩はもう一度寿季に告白したこと。答えは最初からわかっていたのに、勝算はないとわかってたのに、それでも真正面から行った。

「結果なんてやってみなければわからないわ……」

「私が寿季のことを好きで、その気持ちを伝えたい」

「あわよくば恋人になりたい」

「だからもう一度告白した。それだけのこと」

本当に、エレナ先輩はどこまでも真っ直ぐな女の子、真っ直ぐすぎて心が痛いよ。

ゆめみ√

最後にクリアしたキャラなので気づいたが、このゲームの主人公が逢桜以外のキャラを好きになる過程がおかしくないか?!強引すぎるでしょ!!特に何もしてないのに急に好きになったパターンやんけ、おい書き直せや。いやマジで、特にゆめみ√はおかしくね?

そう思って、次のシーンで「物語はきっちり恋のきっかけを作っておかないと、読者は納得しない。でも、ここは現実だ。いつのまにか気になって、いつのまにか好きになっている。そこに何も不自然はないよ」って悠真から言われた。どう見ってもライターさんも不自然だと思ってるから敢えてキャラを借りて言い訳をユーザーに伝わるような気がする…けどまあ細かいことは気にしないようにするわ。

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ゆめみ√で真っ先に感じたのは、こいつ(寿季)別√では気づきが鋭いのにゆめみ√では鈍感すぎね??こいつら を見ててじれたいよマジで。お互い好きあってるのにだれもその紙一重を破らない、めんどくせぇわお前ら、はよこくれ。

ここで寿季はまた結菜に相談する。なんか毎√も彼女に相談したような気がする、結菜ちゃん本当にいい子。そして結菜から

「どんな時だって、想いを伝えるなら直接言うのが一番ですから」

の言葉を貰った。その言葉が、まるで彼女自身に言っているように自分は聞こえる。

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寿季が結菜に相談してる同じ時、ゆめみもちなみさんに相談している。

「でも、その想いを諦めることは、後で絶対に後悔するわ」

「それに、その想いを封じ込めるようになるには時間が解決するのを待つしかない」

「それまで、じっと耐えなきゃいけない」

これを読んでちなみさんはやはり大人でいいお姉さんなんだなーと思った。本当それだよ、だから頑張れ少女!


ゆめみと付き合い始めた事を逢桜に報告するシーン、一発で逢桜に兄弟じゃない事を見抜かれたのを見て、やはりお前には勝てないなーと思った。その後

「でも……良かったよ、本当に」

逢桜が報告を受ける毎√で言ってるような気がする。それは自分が潔く諦め切れるからかな?それとも自分が大好きな人が幸せになれるからほっとしたかな、どっちにしても悲しい気持ちになるね。


そしてゆめみが絵を描けなくなって、先輩4人の会話もあったからその時はもしかしてと思ったんだが√の最後はゆめみがクリエイターをやめるんじゃないかと、そんな結末もちょっと想像してた。

寿季が姫子先生に相談して、

「今すぐ、凪間ゆめみに別れを告げろ」

の答えを貰った時、やはりこの人はどこまでもクリエイターだなーと思った。


ヒントを求めて結菜の創作モチベーションを聞いた時、

「単純に人に褒められたいからですかね」

の答えについて、めちゃくちゃ分かる気がする。自分の場合はアプリを作ったりツールを作ったりしていたが、リリースした後不確定多数から貰った褒め言葉や応援が本当にとってもモチベーションになる。


ちなみさんに相談して、彼女自身の経歴を聞いて最初は

「そんなありふれたごく普通の幸せを感じられる人生のレールを歩いていいのかなって」

「今でもなんでそう思ったのか分からないけど、そのレールに乗るのが嫌だったの」

でもその後、

「果たして、自分はイラストレーターとして人生を生きていけるのか?その想いが常に自分の中で渦巻いていた」

「あれだけレールに乗ることを拒否して、ここまできたのにね」

この二律背反の考えもめっちゃ分かる。人間って本当に矛盾だらけの生き物だ。自分もその時ちょうど仕事の選択で絶賛悩み中だからすっごく分かる。


ゆめみが復活までのシナリオは雑なので特に感想はない。


この√のメインシナリオは普通だが、その代わりにこの√での色んな人の思惑が一番の見せ所だと思う。結菜も、ちなみさんも、姫子先生も、個人的にこの√はゆめみの個人ルートより群像劇のように思える。

逢桜√

ついにセンターヒロイン。本作で一番好きなのは結菜だけど攻略不可キャラなのでヒロインの中だと逢桜が一番好きかな。


寿季が逢桜を送る前から葛藤してたのは明白だった。

「俺は……逢桜の背中を押すよ」

「桐葉のような友人としてではなく、一人のクリエイターとして世界に羽ばたいて欲しい」

それは寿季の本心ではあるが、本心ではない。

送別会の時 「どんなことがあっても、クリエイターを続けて欲しい」

と寿季から逢桜に言って、そして

「そりゃもちろん続けるよ。物書きじゃなくなった人生なんて考えられないし」

の答えを貰った。逢桜は既にクリエイターであることをやめたけど、寿季に心配させたくないし、何より寿季の心の中で最後までもクリエイターで居続けたいから噓をついた。

でも逢桜を送別した後、

「本当に俺は、あいつの背中を押してよかったのか」

どの√を選んでも寿季は引きずってしまう、この点からも寿季は実は逢桜のことまだ好きでいるのを表明してる。でもクリエイターでもあるし、この時点では逢桜を応援したい気持ちが愛情を上回ってしまっている。多分寿季自身も気づいてたと思うが、「一度二人は関係をはっきりしてたからいまさら好きと言ってもなぁ…」或いはそれは好きじゃない他の何かの感情の錯覚だと認識してるかもしれない。だから、

「多分、自分自身の何かがあのキスによって壊れた。俺自身の抱いている感情に決着をつけるためにも、逢桜の隠している感情を引き出すためにも。その意味を問わねばならないだろう。」

寿季がおばあちゃんのお見舞いに行って偶然に逢桜に会ったシーンなんだが、流石に病院で偶然に合ったなんて強引過ぎないか…


問い詰められた時、逢桜は

「わたしはクリエイターとして、トシくん達の前から去った。ここで全部話してしまえば、わたしはただの彩瀬逢桜になってしまうから」

と言った。逢桜も、姫子先生も、みんなクリエイターという呪いに取りつかれているな…


三人にばれた時、 桐葉だけが 騙されなくて、逢桜に 問い詰めた。これを見てやはり桐葉は人間の感情に敏感で逢桜が大好きだなと思った。


逢桜の体の状況を分かった後、寿季は再び選択にせめられる。

「その言葉を発したら、お前は人として道を踏み外すんだぞ?」

それでも、逢桜を最後までクリエイターでいらせたい、彼女と一緒にASを完成させたい気持ちが上回った。

桐葉は活動再開に「協力は一切できない。でも反対も出来ない」と言った。それだけ逢桜のことを大切な友人だと認識してるんだろう、それでも寿季と逢桜にあいつらのしたいことをして欲しい、後悔させたくないから、親友の命よりも親友の決断を尊重すると決断し、ヒントを寿季に与えた。本当、人間って矛盾だらけで不安定な生き物だ。

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大人組がお見舞いに来て、

「彩瀬、もう頑張らなくていい。お前はよくやったよ」

姫子先生の言葉で本気で驚いて、ちょっと泣きたくなってしまった。てっきり創作を続けろというと思った。でもこの言葉から見えることは、やはり姫子先生はまだ普通の人間だ。もし姫子先生自身が余命宣告されたら彼女自身も創作を続けることを選ぶんだろうけど、これは生徒だから優しい一面が垣間見える。そして姫子が一体あちら側かこちら側の問題もこれで休題。


ここで一つの見どころは主人公が逢桜のことが好きと知った三人のヒロインの反応。

エレナ先輩は真っ直ぐに再度告白して振られる。

桐葉も花咲さんのアドバイスを受けて告白しようと思ったが先に寿季から逢桜に告白するべきか相談されて断念。寿季よ、お前クズだな……気づいてないなんて言い訳は通用しないぞ、女の子の気持ちを察してあげることすらできないやつは全員童貞だぞ!桐葉がこの時どれほど辛いかそれでもちゃんとしたアドバイスを出した、ちょっと泣きそうになっちゃった。

ゆめみ自身の恋心に気づいてないようだが、結菜は気づいてあげた。やはり結菜は賢くて人の心に敏感な人だ。

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好きだってこと、伝わなかったらきっと後悔すると、一度経験した身だから寿季は既に分かっていたから、 花火の下で逢桜に告白した。

「わたしはわたしの矜持を守るために、君と付き合えない」

の返事をもらった。その矜持とはその後桐葉の協力の元に再び話し合えて逢桜自身が語った

「仮にわたし達が恋人同士になったとして、最後に訪れるのはどうあっても悲恋だよ」

「約束されたバッドエンド。わたしはそんな結末を望んでいない」

そして寿季は

「それを決めるのは俺だ」

「バッドエンドか、ハッピーエンドかなんて、そんなのは逢桜が決めることじゃない」

このセリフはエンディングの解釈のヒントになり得ると思う、後で述べる。


手術の話が出てくる。ここで寿季は二回目の選択にせめられる。今度は一回目と違って逢桜が助かるかもしれないという条件が付いてる、なので一回目よりも厳しい決断になる。それでも寿季はクリエイターの方を選んだ。これにより、寿季は根っからのクリエイターであり、普通の人間ではいられないことが明らかにされる。


遂にドクターストップが掛かってきて、逢桜は寿季に助けを求めてくる。

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「うん。わたしを助けて欲しい」
この言葉が、「わたしを殺して欲しい」のように聞こえる。


二人は病院からの脱出を図った。いや脱出なんて……非常識にも程がある……と思ってた。そんないつ発作するかも分からない状態でよくそんなことができる。でもそれでも物語を完成させたい、クリエイターの矜持を維持したいなんだろう。


もちろんこのことは桐葉に大反対される。

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「本当にあんた達は馬鹿よ。大馬鹿よ」

どいつもこいつも真っ直ぐすぎて眩しい、それがわたしの持ってないものかな、と言わんばかりのような呟きだった。


逃亡先で、

「死ぬのは覚悟してた。でも……トシくんと恋人になって、こうして創作活動も再開して……いっぱいやりたいことが増えちゃった」

それでもASを優先に完成させたい。可能性が下がるとしても、普通の女の子で前に、彩瀬逢桜はクリエイターだから。


逃亡中のエッチシーンに関して、いやエロゲだから仕方ないのは分かってるけどそんな状態で気を失うまでセックスするのおかしくね??気は確かかお前ら、間違いなく寿命が減るぞ……


二人の執着に負けて許可を得た二人は再び病院に戻って作業する。しばらく経って逢桜の足が動けなくなってしまう、手が動けなくなってしまう。寿季に助けられて最後までASを書き終わって、物語はそこで閉じる。

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最後のエンディングに関して多分人の解釈によって違うんだろう。ここは自分個人的の理解を述べる。

まず結論として、残念ながら最後に出てきた逢桜は寿季の想像で、逢桜は生き残れなかった。

決め手の手掛かりは三つある。

一つは高台で最後の告白してる時寿季の言葉「それを決めるのは俺だ。バッドエンドか、ハッピーエンドかなんて、そんなのは逢桜が決めることじゃない」

二つは足が動けなくなった時逢桜が言った言葉「わたしに奇跡なんか、いらないんだ」

三つはASの愛姫√のエンディング

「この結末はハッピーエンドだと思うか?」

「それを決めるのはわたし達だよ」

つまり、ハッピーエンドかバッドエンドか、自分が思うことが全てだ。だから寿季も逢桜もこれがハッピーエンドだと思って、現実を受け入れた。悲しくはない。

他にも、寿季が桜の木の上から降りた時「しかし、振り返ってもだれもいない」なども側面から暗示してる。

だからこそ、最後の会話

「この結末はハッピーエンドだと思うか?」

「どうだろう。人によってはバッドエンドかもしれない」

「でも、これがわたしなりの公式(こたえ)なんだよ」

「この世界はどこまでいっても現実しかなくて、奇跡なんてない」

「だからこそ、わたしは最後までクリエイターでいられたんだから」

「そして、これからも」

間違いなくこれはハッピーエンドなんでしょう、少なくとも逢桜と寿季の中では。


本作の タイトルの恋愛公式は、恋愛への答えだと思う。 その答えが、ハッピーエンドかバッドエンドか自分が思うことが全部決める。

それは愛はエゴだから。最高に自分勝手のエゴだから全部自分で決められる。

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